こんな症状はありませんか？
- 慢性の頭痛、突然の激しい頭痛
- けいれん発作
- 手足の麻痺や痺れ
- 言語障害
- めまいや吐き気
- 視力の変化や視野の異常
- 意識障害
- 認知症様症状
- てんかん発作
など
※脳動静脈奇形は出血、てんかん、虚血による上記の神経症状で発見されますが、それまでの自覚症状を伴わないことがほとんどです。
脳動静脈奇形とは？
脳動静脈奇形（AVM）は、先天性の脳血管の異常です。通常、動脈から毛細血管を経て静脈へと血液が流れますが、脳動静脈奇形では動脈と静脈が直接つながってしまう血管の塊となります。高圧の動脈血が直接、壁の薄い静脈に流れ込むため、脳卒中（脳出血）の原因となります。
脳動静脈奇形自体は慢性の頭痛の原因であることもありますが、無症状であることが多く、成人になってからの検査で初めて判明することも少なくありません。脳動静脈奇形があるからといって必ずしも脳卒中（脳出血）になるとは限りませんが、比較的若い年代の脳卒中は、この脳動静脈奇形が原因であることも多いです。その他、てんかんを生じてわかる場合もあります。
脳動静脈奇形の原因
脳動静脈奇形には、胎児期の血管形成異常や遺伝的要因などが考えられています。ただし、いずれも明確な因果関係は確立されておらず、はっきりとした原因は分かっていません。
なお、脳動静脈奇形自体は、一部の例外をのぞき遺伝するものではありません。
脳動静脈奇形の検査
脳動静脈奇形の診断には、画像検査が非常に重要です。特に MRI検査は、脳動静脈奇形の発見と評価に極めて有効な場面が多く、治療計画の立案にも貢献してくれます。当クリニックでは3テスラMRI装置を導入しており、大病院並みの高精度MRI検査が可能です。
CT検査
脳内の異常な場所での石灰化で時にわかる場合もありすが、通常単純ＣＴでは、破裂しない限り検出できせん、MRI検査が適用できない場合や、脳動静脈奇形からの出血の有無などを確認する際、多くは造影剤を使用して行います。
脳血管造影（DSA）
治療方針や治療方法の決定の際、MRI検査後により詳細な血管構造や血流動態を評価するために行います。
脳波検査
脳動静脈奇形が原因となるけいれん発作の評価や予測に役立ちます。
脳動静脈奇形の治療と予防
治療方法は、症状の有無、脳動静脈奇形の大きさ、位置、患者様の年齢や全身状態などを考慮して選択されます。総じて出血率はさほど高くないので、無症状の脳動静脈奇形の出血予防に対する外科的治療の選択は慎重となります。
開頭摘出手術
開頭し、顕微鏡下に異常血管の栄養動脈を遮断しながら血管奇形の塊（ナイダス）を摘出する方法です。完治が期待できますが、大事な脳の場所にある場合いや、大きなものでは侵襲性が高いため、慎重に適応を検討します。大事な脳の場所にある場合や、大きなものでは侵襲性が高いため、慎重に適応を検討します。最近では、より安全に摘出できるよう、脳血管内治療による栄養動脈、ナイダスの塞栓を開頭摘出術の前に多く行われます。
脳血管内治療（塞栓術）
カテーテルを用いて、異常血管内に塞栓材料を注入して、栄養動脈やナイダスを塞ぐ方法です。細い血管や塊の一部など、完全に閉そくできない場合が多いので、手術や放射線治療法と組み合わせて行います。
定位放射線治療（ガンマナイフ、Ｘ線ナイフ）
ピンポイントで放射線を血管奇形の塊（ナイダス）に照射し、異常血管を徐々に閉塞させる方法です。効果が現れるまでに年単位の時間がかかり、完全閉塞は困難ですが、正常脳細胞への侵襲性が低いのが特徴です。ただし、中心部には高線量を照射するため、大型の場合には周囲の脳浮腫などの放射線性副作用を生じる場合もあります。
経過観察
無症状で、小さな脳動静脈奇形や、脳の大事な部位にあったり、大型の場合など治療リスクが高い場合には、定期的な画像検査で経過を観察することもあります。
予防について
先天性の脳動静脈奇形自体を予防することは困難ですが、以下の点に注意することで、脳出血などの合併症リスクを低減できる可能性があります。
- 高血圧の管理
- 禁煙・節酒
- 適度な運動
- バランスの取れた食事
- 定期的な脳ドック（MRI/MRA検査）
など
当クリニックでは、高性能MRI装置による精密な診断と、脳神経外科専門医による適切な診断・治療を行っています。また、連携病院との協力により、摘出手術の臨床経験豊富な当クリニック理事長による手術も可能です。脳動静脈奇形と診断されて、治療方針や、治療方法に関する意見を求めたいときなど、お気軽に当クリニックへご相談ください。