こんな症状はありませんか？
- 立ち上がる時や歩行時の腰の痛み
- お尻や太ももの痛み、痺れ
- 長時間歩くと足に痛みや痺れが出る（間欠性跛行）
- 腰を反らすと痛みが強くなる
- 足の脱力感
- 尿が出にくい（重症の場合）
など
※脊柱管狭窄症と症状を合併することが多く、症状が似ているのが特徴です
腰椎変性すべり症とは？
腰椎が何らかの理由でずれてしまった状態のことを総称して「腰椎すべり症」と言います。腰椎変性すべり症の多くは、加齢などにより腰椎の一部が前方にずれる（すべる）ことで、神経が圧迫され様々な症状が現れる疾患です。腰椎のずれにより脊柱管狭窄症を合併することが多く、そのため、神経が圧迫される、腰や下肢の痛み、痺れなどの症状が引き起こされます。
中高年の方、特に女性に多く見られる疾患で、初期症状として歩行時・労作時の腰痛を訴えられる方を多く見受けます。進行すると安静時にも痛みや痺れが生じ、最終的には排尿障害を伴うようになって、日常生活に支障をきたすようになります。
腰椎変性すべり症の原因
腰椎変性すべり症の主な原因には以下のようなものがあります。多くは加齢による椎間板の変性ですが、女性ホルモンの影響や体質（もともとすべりやすい骨格をしている）も考えられます。
- 加齢による椎間板の変性、靭帯の弛緩による腰椎の不安定化
- 女性ホルモンの減少（閉経後の女性に多い）
- 遺伝的要因（骨格の形態異常）
など
腰椎分離すべり症との違い
腰椎のずれによって起こる疾患には、もう一つ、「腰椎分離すべり症」があります。どちらも腰痛をはじめとした神経症状が現れる点では共通していますが、椎体と椎間関節をつなぐ椎弓部分の疲労骨折や先天性の要因にて、すべり症を生じることがあり、若年者に多くみられる病態です。
それぞれ発症に至る原因が異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
腰椎分離すべり症の原因
腰椎への過度な負荷（繰り返しの動作、激しいスポーツ）
腰椎変性すべり症の検査
腰椎変性すべり症の診断では、詳細な問診と身体診察、および画像検査（レントゲン、CT、MRI）の結果から、総合的な視点で判断します。神経症状のある場合は、神経への圧迫原因を診断するために、MRI検査が必要です。
X線（レントゲン）検査
立位での正面像と側面像、および前屈位と後屈位の動態撮影を行い、腰椎のずれの程度や不安定性を評価します。
MRI検査
MRI検査は、軟部組織の状態を明瞭に描出できるため、神経への圧迫の程度や周囲組織の状態を詳細に評価できます。これにより、症状の原因となっている病変を正確に特定し、適切な治療方針の決定に役立ちます。
- 脊柱管の狭窄の有無や程度
- 神経の圧迫状態
- 椎間板の変性度やヘルニア合併の有無、程度
- 黄色靭帯の肥厚や骨化の様子
- 椎間関節軟骨の消失、液貯留、不安定性
など
CT検査
骨の状態や椎間関節の骨変性や変形はMRI検査より詳細に描出できるので、手術を考える場合に有用です。
腰椎変性すべり症の治療
腰椎変性すべり症の治療もまず保存療法から開始し、症状の改善が見られない場合や重症例では手術療法を検討します。
保存療法
- 安静：急性期には短期間の安静が効果的です。
- 理学療法：ストレッチ、筋力トレーニングなどを行い、症状を和らげます。
- 装具療法：コルセットを装着して腰椎の不安定性を軽減し、症状を和らげます。
- 薬物療法：消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などを使用します。
- 神経ブロック注射：症状が強い場合に考慮します。
など
手術療法
保存療法で十分な改善が見られない場合や、痛みや痺れなどで日常生活に支障をきたすほどの重度の神経症状がある場合、スポーツなどの趣味の継続に支障のあり場合に検討します。
大阪市北区の梅田 脳・脊髄・神経クリニックでは、高性能MRI装置による精密な診断と、脳神経外科専門医による適切な診断・治療を行っています。また、手術を希望される患者さまには、当クリニックと連携する病院に入院指定頂いて、豊富な手術経験を持つ当クリニック理事長執刀による手術のご提供も可能です。記のような症状でお悩みの方は、気軽に当クリニックにご相談ください。
顕微鏡下腰椎椎弓開窓除圧術
神経の圧迫を解除するために、小切開で顕微鏡下の狭い術野から、すべり症による狭窄部位を、椎弓（椎骨の後ろの部分）の一部と肥厚した黄色靭帯を切除して神経の通り道（脊柱管）を広げ、癒着を生じている神経の剥離を行います。身体の動きによって、すべりが変化するような不安定になっている時は、下記の固定処置を平行して行います。
顕微鏡下腰椎固定術
顕微鏡下に不安定な部位の腰椎すべりを動かないように固定します。上記の腰椎除圧術を行った後、すべっている椎体の間にチタン製のケージを挿入して椎体間を固定、さらにスクリュウーを挿入した椎弓同士をロッドで連結して椎弓間を固定します。