こんな症状に突然見舞われたら
- 突然の激しい頭痛（鈍器で殴られた様な痛み）
- 吐き気や嘔吐
- 意識障害
- 手足の痺れ
- 頭痛とめまい
- けいれん発作
など
クモ膜下出血とは？
クモ膜下出血は、脳を覆う薄い膜（クモ膜）（脳表面）の間の空間（クモ膜下腔）に出血が広がった状態です。殆どが脳動脈瘤の破裂によって引き起こされ、「バットやハンマーで殴られたような」「これまでに経験したことのない」と形容される激しい頭痛と共に、様々な症状をもたらします。
脳卒中の一つであり、その中でも特に命に関わる危険性が高く、半数以上が命にかかわる、重い後遺症を残します。MRIで行うMRAの検査は未破裂の脳動脈瘤を発見できますので発症予防にはMRIの定期的検査が最も効果的です。くも膜下出血発症時は迅速な救急対応が必要です。
クモ膜下出血のその他の原因
クモ膜下出血でも数％は破裂脳動脈瘤を認めず、原因不明のものがありますが、その場合は予後良好とされます。脳動脈瘤以外の主な原因には以下のものがあります。
脳動静脈奇形
先天的な脳血管の形成異常は、脳出血を生じることがあり、これがクモ膜下腔で起こることでクモ膜下出血となります。
外傷
頭部への強い衝撃によって脳表面の血管が損傷を受け、クモ膜下出血を起こすことがあります。
クモ膜下出血の検査
クモ膜下出血の診断には、迅速かつ正確な診断と早期治療開始が救命に不可欠です。救急でのCT検査で診断されますが、出血が少なく症状が軽微で、数日経過した場合ばどは、ＣＴ検査で異常がわからず、MRI検査が有効な場合があります。
CT検査
クモ膜下出血が疑われて救急搬送された場合に行われ、出血の有無、範囲、程度を迅速に評価できます。ＣＴ検査にて、クモ膜下出血と診断されますと続けて造影剤を注入して、ＣＴによる脳血管撮影（ＣＴＡ）を行い、破裂脳動脈瘤の有無、部位、大きさを確認します。
MRI検査
MRI検査は、急での診断ではあまり用いません。一方で、出血から数日経過した場合などで微量のくも膜化出血の残存も高感度で検出でき、かつMRAでの動脈瘤の有無も確認できなど、MRI検査が有効な場面もあります。
脳血管造影（DSA）
上記2つの検査後、破裂脳動脈瘤の手術適応となり、より詳細な血管の評価が必要な場合に行います。脳血管内治療の場合は、DSA検査に連続してコイル塞栓術を行います。
クモ膜下出血の治療
破裂した脳動脈瘤は、再出血を起こして、より重症率が高くなります。リスクが高いです。クモ膜下出血発症後は、破裂した脳動脈瘤が再出血を起こす前に動脈瘤を閉塞させる手術を早期におこないます。
開頭手術（脳動脈瘤頸部クリッピング術）
開頭して、顕微鏡下に脳の間を分けて、脳動脈瘤の頸部をチタン金属製の脳動脈瘤クリップで挟み込み、動脈瘤内への血流を遮断することで破裂を予防します。
開頭手術（ラッピング術）
クリップできる動脈瘤頸部がはっきりしないような、紡錘状の動脈瘤の場合などは、筋肉の一部や人工物で脳動脈瘤を包み込んで血管壁を補強し、再出血を予防します。しかしながら、脳血管内治療の技術、材料の向上により、このような例では脳血管内治療が多く行われるようになりました。
脳血管内治療（コイル塞栓術）
カテーテルを用いて動脈瘤内に細い金属の束（コイル）を挿入し、脳動脈瘤内への血液流入を遮断することで再出血を予防します。クモ膜下出血後の腫れた脳においても、血管内から動脈瘤にアクセス可能で、技術と塞栓材料の質の向上に伴い、開頭術より侵襲が少ないこともあって、軽傷から重症例まで広く行われるようになっています。
予防について
クモ膜下出血を生じた場合の重症度は予想がつかず、出血した場合の半数以上は命や重い神経後遺症を生じます。一方、未破裂脳動脈瘤に対する開頭術/脳血管治療の９７％は良好です。したがって、その唯一の予防は未破裂の脳動脈瘤の存在を発見することであり、脳MRI/MRA検査を定期的に行うことが唯一となります。また破裂する危険の少ない小さな脳動脈瘤が発見された場合は、MRAによる経過観察とともに、高血圧管理をはじめとする健康管理が大切です。
- 高血圧の管理
- 禁煙・節酒
- 適度な運動
- バランスの取れた食事
- 定期的な脳ドック（MRI/MRA検査）
など
大阪市北区の梅田 脳・脊髄・神経クリニックでは、高性能な3テスラMRI装置を活用した詳細な画像診断と、経験豊富な脳神経外科専門医による的確な診断・治療方針のご提案を行っています。さらに、手術が必要な場合には、提携医療機関との連携下での、これまで約１３００件の開頭クリッピング手術の治療経験をもつ当クリニック理事長による手術が可能です。クモ膜下出血の予後が不安な方や、将来的な予防のための検査をご希望の方は、どうぞお気軽に当クリニックまでご相談ください。