似ているようで大きく違うMRIとCT
MRI検査とCT検査は、どちらも体内の状態を観察できる画像診断法ですが、その原理や特徴には大きな違いがあります。しかしながら、脳の微細な構造、脳血管の情報はMRI検査でしか得られず、特に骨に囲まれた脊髄や脊髄神経の情報はMRIでしか得られません。脳血管の情報を得る必要のある場合は、造影剤の点滴が必要です。一方MRIは動いている器官、臓器の描出が困難で、その点CTは心臓や腹部内属などの描出にすぐれています。ですので脳や脊髄、神経の分野では骨の成分の把握が必要となるような、手術前に行う検査としての使われ方が殆どとなっています。
CT(Computed Tomography)
CTは「Computed Tomography:コンピュータ断層撮影」の略です。微量の放射線(X線)を利用して体内の状態を断面像として描出し、それをコンピュータ処理した画像から体内の状態を観察します。レントゲンは1Dですが、2Dおよび3Dの情報量となるため、CT撮影をすることで、より詳細な診断が可能になります。
X線は硬いものほど透過しにくくなるため、CT検査は骨など「体内の硬いもの」を画像化する能力に優れていると言えます。その一方で、筋肉や脳組織などの描出には限界があります。
特徴
- X線を使用し、体内の「固さ」を画像化
- 検査時間が短い(約3~5分程度)
- 空間分解能に優れ、細かな構造まで観察可能だが、骨に囲まれた狭い部位(脊髄、神経など)の描出は困難
- 骨や肺の内部構造の描出に適している
- 広範囲を短時間で撮影可能
など
MRI検査(Magnetic Resonance Imaging)

MRIは「Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像法」の略で、強い磁石と電磁波を利用し、細胞に含まれる水素原子に影響を与えることで、体内の状態を描出します。CTで用いる放射線は、健康に影響がないほど微量ですが、MRIでは放射線を一切使用しないので、人体に対する影響がほぼない点が特徴です。
骨組織の描出に優れるCTに対し、MRIは脳や脊髄、関節、筋肉などの軟部組織の構造描出に優れています。そのため、レントゲンやCTでは評価が難しい異常・疾患であっても、MRIであれば評価が可能なこともあります。また、同じ原理で血管の描出・評価が可能(MRA検査)な点も特徴です。
特徴
- 磁場と電波を使用し、体内の水素原子の分布を画像化
- 検査時間が比較的長い(10分~20分程度)
- 組織分解能に優れ、軟部組織の描出に適している
- 放射線被ばくがない
- 造影剤を使用せずに血管の走行を描出可能
など
CTとMRIの比較
| MRI | CT | |
|---|---|---|
| 使用技術 | 磁場と無線波 | X線 |
| 描出部位 | 軟部組織(脳、脊髄、関節、筋肉) | 硬い組織(骨組織)や骨のない臓器(肺、腹部、内臓など) |
| 検査時間 | 少し長い(10分~20分程度) | 短い(3~5分程度) |
| 長所 | ・組織分解能に優れる(組織や病変とのコントラストが明瞭) ・放射線による被ばくがない ・軟部組織構造の描出に優れている(筋肉、靭帯、半月板など) ・骨によるアーチファクト(画像の乱れ)が少ない ・造影剤を使用せずに血管の走行を描出できる |
・空間分解能に優れる(細かな構造まで見える) ・広範囲を短時間で撮影できる ・騒音や閉塞感が少ない ・骨や肺の内部構造の描出が良好 ・体内に金属が入っていても撮影可能(ただし、金属周囲の画像描出は困難) |
| 短所 | ・装置が狭く、閉所恐怖症の方には負担が大きい場合がある ・騒音が発生する ・体動に弱い(動くと画像が乱れる) ・磁気に反応する金属(※)が体内にある場合、検査できないことがある (※)ペースメーカー、金属プレート、人工内耳など |
・放射線被ばくのリスクがある ・MRIに比べて脊髄や神経などの軟部組織の把握は困難 ・骨に囲まれた部位ではアーチファクトが出やすい(脊髄・神経) ・血管の描出には大量の造影剤が必要 |
検査の使い分け
脳脊髄神経の疾患や予防的スクリーニング検査においては、MRIが有用で、CT検査で得られる情報は、脳卒中における出血の有無や外傷における骨折の診断など、極めて限られます。
MRIの得意分野
- 脳・脊髄疾患(早期脳梗塞、脳動脈瘤など)
- 整形外科領域(靭帯、軟骨、筋肉の損傷など)
- 生殖器領域(子宮、卵巣、前立腺など)
など
CTの得意分野
- 脳・頭蓋内の出血
- 呼吸器疾患(肺がん、肺炎など)
- 尿路結石
- 腸炎・腸閉塞
- 緊急検査(短時間で広範囲の撮影が可能なため)
など